「陸奥爆沈」吉村昭 ― 2006年08月08日 21時01分48秒
1943年6月8日、呉の柱島沖に停泊していた戦艦陸奥は突然の爆発事故を起こし、1121名の乗員とともに沈没した。作者が、その事故現場を訪れるところから始まり、生存者、当時の関係者への取材を通して、事故の真相に迫っていく。当初、三式砲弾の暴発による事故と疑われたが、検証の結果、それは否定され、ある乗員による自殺説が浮上する。そして、これまで公にされていなかった日露戦争の旗艦三笠での二度にわたる人為的な事故とそれに続く同様の事故を細かく検証し、不祥事が発覚し上官に厳しく叱責された乗員が、更なる処分が近づいていることを知り、人為的に爆発事故を起こしたのではないかという推論に達する。緻密な取材と、精巧な語り口は、「戦艦武蔵」と同様で、最後までぐいぐいとひきこまれて一気に読了した。
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