「悶え」★★2006年10月09日 09時04分01秒

1964年大映。平林たいこ「愛と悲しみの時」原作、井上梅次監督。新婚旅行で夫(高橋昌也)が不能であることがわかった新妻若尾ちゃんの苦悩の日々。夫の部下(川津祐介)と一線を超える覚悟でホテルに行く若尾ちゃん。追いかけてきて嫉妬に狂う夫が奇跡のように回復。ハッピーエンドに。オープニングタイトルからラストのクライマックスまで、夫のポテンツが上昇しかかるシーンでは、安でのSF映画のように渦巻きがまわる。ソウルバスだったらもうちょっとセンスある絵を用意しただろう。

「砂糖菓子が壊れるとき」★★★2006年10月12日 23時57分24秒

1967年大映。曽野綾子原作、今井正監督。マリリン・モンローがモデルの女優一代記。女優としての象徴、象徴としての女優であるヒロインを若尾ちゃんが見事に演じている。肉体派女優という設定だけに若尾ちゃんの衣装も大胆、セクシーなものが多く、いつになく華かだ。津川雅彦が演じる芸能記者は、ピーター・セラーズのようで軽妙。田村高廣が演じる文士もいい味を出していた。

「博士の愛した数式」2006年10月16日 23時12分56秒

2006年アスミックエース。小泉尭史脚本・監督。寺尾の演じる博士は、小綺麗で、原作ほどエキセントリックなところがない。野球を高校まで実際にやった経験があって、子供たちにコーチまでするという設定なので、かなりまっとうな人間に見える。原作のあざとい感じの部分がそぎおとされた分、面白さも減った。これは原作の勝ちであろう。

「女の小箱・より 夫が見た」★★★2006年10月28日 10時29分35秒

1964年大映。黒岩重吾原作、増村保造監督。自分をかまわない夫(川崎敬三)が勤める会社に敵対的M&Aをしかける成り上がりのナイトクラブ経営者(田宮二郎)を愛してしまった若尾ちゃんは、自分の夢と私のどちらかを選んでとせまる。シェークスピア的悲劇となるラストは、これ以外の終わり方では誰も納得しないであろう。