「あさ潮ゆう潮」★☆2007年08月17日 08時29分40秒

1956年大映。モノクロ86分。白川渥原作、佐伯幸三監督。瀬戸内の孤島で共に育ち、将来を誓いあった若尾ちゃんと川口浩。若尾ちゃん演じる弓子は姉が仲居として働く別府のホテルへ、川口は神戸の造船所へと巣立つ。川口は造船所の社長令嬢和子が若尾ちゃんとうりふたつなのに驚く。資材の落下事故から彼女を救ったことをきっかけに目をかけられ社長秘書となる。弓子と和子は双子の姉妹だったのだが、双子は不吉であるという迷信から妹の弓子を生まれてまもなく手放したという設定。当時はこんな不自然な設定でもさもありなんという時代だったのか。和子は湯布院から友人の車を借りて別府の川口に会いにいく途中、山道の運転を誤り転落する。姉妹は病院での臨終の場で初めて顔を合わせる。父親は、ふたりを一度に見て楽しむ機会は失われてしまったが、和子のかわりに弓子が戻ってきてくれた、というようなことを言う。冒頭の美しい島のシーンで、友人たちの中でひときわ際立つ美貌が印象的だった。

「やっちゃ場の女」★★2007年08月19日 09時13分14秒

1962年大映。木村恵吾監督。築地の青果市場が舞台。若尾ちゃんは卸問屋を取り仕切る長女役。母親が亡くなり跡を継ぐことに。お通夜のシークエンスは20分近く続くが、チミノ監督の「ディアハンター」の結婚式のシーンに匹敵するというと誉めすぎか。喧騒の中、若尾ちゃんがてきぱきと取り仕切っていき、立派に跡継ぎとして一本立ちしていくということを象徴している。番頭役の藤巻潤への気持ちをきっぱりと整理して、お見合い相手の建築士宇津井健を訪ねるが、一足遅く彼は婚約していた。さばさばとそれを受け入れ前向けに生きるやっちゃ場の女。こういうきっぷのいい女性役ははまり役だ。