メトロポリタン美術館展2012年10月14日 21時57分29秒

東京都美術館。
本邦初公開のゴッホの「糸杉」(1889年、油彩、キャンバス)が目玉。サン・レミの療養院で目にした糸杉を、アルル時代の「ひまわり」と同じように主題にして連作にした中の一枚。木の幹の部分を表す黒色と、葉の緑、黄緑の色とかなり微妙なバランスの上で描かれている。写真で見ると、黒くつぶれているか、緑に負けて黒色が控えめになってしまっているかのいずれかだけれど、実物はもっと緊張感のある色のハーモニーであることが見てとれた。背景のピンクの雲と三日月も独特の表現。
もう一枚、「歩きはじめ、ミレーに拠る」(1890年、油彩、キャンバス)はほのぼのとした作品。こちらのほうが年代が前かと思ったら後だった。

メトロポリタン美術館展22012年10月14日 22時33分35秒

東京都美術館。ゴッホ以外の作品で印象に残ったのは、ターナーの描いたベニスの光景。明るく透明感があり、同じサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を描いた前の世代のカナレットの作品とはかなり印象が違う。
ミレーの「麦穂の山:秋」と、同じく農民を主題にしたブルトンの「草取りをする人々」。同時代に同じテーマの作品を描いたから、両者はやはりよく比較されたらしい。ブルトンの描く人間のほうが写実的というか、劇画的。山梨県立美術館にある人物画を見たくなってきた。
ウィンスロー・ホーマー「月光、ウッドアイランド灯台」。夜半突然、月光と灯台の光に照らされた海を描きたくなり、まさにスナップ・ショットのようにそこで描き終えてしまったという迫力の逸品。