「戦艦武蔵」吉村昭2006年08月06日 21時15分53秒

先日亡くなった吉村昭氏の記録文学の大作。「戦艦武蔵ノート」はずいぶん以前に読んだが、本書は初めて読んだ。極秘のうちに三菱重工長崎造船所第二船台で建造され、無事進水するまでで2/3の頁を費やしている。7隻めの最新鋭イージス艦が現在ここで造られていることを思うと、けして過去の出来事ではない。そして、ほとんどなんの戦果もあげずにシブヤン海で米軍の猛攻撃を受け撃沈されるまで、事実の積み重ねを細かく描写してぐいぐいとすすんでいく語り口の巧みさを堪能した。