バイロイト第9終楽章2006年03月09日 20時57分47秒

フルトヴェングラー
1951年7月29日、フェストシュピールハウス、バイロイト。フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団、合唱団によるベートーヴェン交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」を終楽章だけだが、おそらく十数年ぶりに聞いた。音楽が有機的に生成されていく、正に生まれていく瞬間に立ちあうような感動を聞くたびに味わえる名演。当時の録音技術の限界で、マイクに捉えきってないその時そこで鳴っていた音をもっと立体的に聞きたいという気持ちにもなるが、その時そこに居合わせなかったのだから仕方がない。中には、当時最前列の席で生を聞いて何にも感動しなかったと公言するワーグナーの曾孫のようなへそ曲がりもいるが。
レコード芸術の最新号に「衝撃の来日公演」という特集が載っていたけれど、あのうち、クライバーのベートーヴェン第4、第7、「ばらの騎士」、テンシュテットのマーラー第5、バーンスタインのマーラー第9、ホロヴィッツの二度目のリサイタルを生で聞いた。その時そこに居合わせたことは幸せなこと。

「鴈の寺」★★★2006年03月09日 23時32分21秒

鴈の寺
1962年大映。水上勉原作、川島雄三監督。禅寺の好色な住職(三島雅夫)と愛人・里子(若尾ちゃん)、それに少年僧(高見国一)の織りなす愛憎劇。エロチシズムとサスペンスのブレンドはヒッチコック作品を思わせる。モノクロから鮮烈なカラーシーンに突然変わり、小沢昭一が出てくるラストは、別な映画が始まったかと思うぐらいミスマッチだけれど、エイゼンシュタインの「イワン雷帝」第二部を思い出した。