「その夜は忘れない」★★☆2007年04月01日 22時39分56秒

1962年大映。吉村公三郎監督。被爆後十数年たった広島に取材に来た週刊誌の記者(田宮二郎)と実は被爆者であるバーのマダム(若尾文子)との純愛物。謎を秘めた美貌の女性がこれほど似合う人はいない。当時まだ蒸気機関車が特急列車であることに驚く。広島駅での別れのシーンは切なく若尾ちゃんの情感せまる演技も素晴らしい。団伊玖磨の音楽が暗示的で印象に残る。

「雁」★★★2007年04月21日 23時29分55秒

1966年大映。森鴎外原作、池広一夫監督。高利貸し(小沢栄太郎)が若尾ちゃん演じる妾の家にやってきて女中を銭湯に行かせ追い払った後、若尾ちゃんが戸締まりするシーンが、その後の直接的な描写がない分エロチックである。正妻(山岡久乃)が突然現れるシーンがいくつかあるが、正にヒッチコック流。音楽もサスペンス物のそれだ。山本学演じる学生への想いがかなわず、「私だって、私だって」と本心を露にする演技が見事だった。

「セレブの資格」2007年04月28日 21時42分44秒

梅田芸術劇場で千秋楽の公演を鑑賞。ノエル・カワードの翻訳劇であるが、若尾ちゃんはコメディに初挑戦。英国貴族の優美さとしたたかさが見事に表現されていた。