「ゴッホの宇宙」小林英樹2010年08月11日 23時12分47秒

「ゴッホの遺言」以降、いつも圧倒的な知識、探究心、想像力で、ゴッホそのもの、またゴッホ研究の面白さを教えてくる著者の最新刊です。実際にパレットに絵の具を乗せて混ぜてその独自の色の作り方を再現分析したくだりやゴッホの読書歴を時代順にたんねんに追ったところも面白かったです。手紙の中にゾラのことがよく出てきていましたが、なかなかの読書家であったことがわかります。著者がオランダのゴッホ博物館に一週間集中的かつ勢力的にかよいつめるくだりも興味深く読みました。他の絵と重ねていたためについた絵の具から、それが同時期のどの絵かまで特定するくだりは、シャーロック・ホームズの分析力、推理力を思わせます。著者が日本推理作家協会賞を受賞しているのもなるほどとあらためて思いました。ゴッホを観ることがますます楽しくなりました。

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