メタボリズム展2012年01月08日 21時17分06秒

森美術館。暮れに亡くなった菊竹清訓氏のエコポリスや海上都市等を興味深く見る。
写真は、外に展示された黒川紀章作の中銀カプセルタワービルのカプセル現物。中に備え付けられたオープンリールテープレコーダーなどさすがに時代を感じさせる。

殿様も犬も旅した 広重 東海道五拾三次2012年01月08日 22時25分20秒

サントリー美術館。「摺(しょずり)」と一部の図様が改変された「変わり図」の比較が面白かった。出だしの「日本橋 朝乃景」でも、摺では右のほうにいた犬が。変わり図では画面真ん中に描かれ、道行く人たちの数も増えている。

ザ・ベスト・オブ山種コレクション2012年01月08日 23時20分14秒

山種美術館。速水御舟の「炎舞」をやっと観ることができた。日本画の写実主義の傑作だけれど、精緻な筆使いもここまでくると高細密の印刷物を観ているような錯覚にとらわれて、現物であるという実感がわかない。
伊東深水が木暮実千代を描いた肖像画も印象的。溝口健二が若尾文子に「木暮君を見なさい。官能的だろう」と言ったのが伝わってくる。

善き人 GOOD2012年01月11日 22時54分21秒

2008年英独。C・P・テイラーの舞台劇が原作。ヴィセンテ・アモリン監督。
宣伝のコピーはちょっとニュアンスが間違っていて、主人公は信念を貫く人には描かれていない。むしろ流されるままにナチの御用学者になり、ゲシュタポの一員にまでなってしまった典型的なドイツ人で、惚けた母親、妻、愛人そしてユダヤ人の親友との間で悩める日常を送っている。
「ロード・オブ・ザ・リング」も「ハリー・ポッター」も熱心に見てた訳ではないので、主役の二人とも馴染みはないのだが、二人ともリアリティがある演技で、正にその時代にドイツにいた市中の人々を演じている。
マーラーが「巨人」で描いている音楽の意味を、故岩城宏之がウィーンフィルの楽員からレクチャーされたエピソードを著書で読んだことがあるが、正にこの映画のラストシーンがそれを物語っている。虐げられたユダヤ人たちの叫びだ。

フェルメールからのラブレター展2012年01月27日 23時42分01秒

Bunkamuraザ・ミュージアム。フェルメールの三作「手紙を書く女」「手紙を読む青衣の女」「手紙を書く女と召使い」が広々とした空間の三壁に飾られていた。ラピスラズリの鮮やかな青色を復元した「手紙を読む青衣の女」もよかったけれど、「手紙を書く女と召使い」の窓外を眺める召使いの表情がとてもいい。「手紙を書く女」は、こちらに視線を向けた女性の黄色の衣装が鮮やか。