セザンヌ パリとプロヴァンス2012年05月02日 22時36分09秒

国立新美術館。
セザンヌはマネに影響を受けて、「草上の昼食」や「オランピア」を意識して裸婦をモチーフにした絵を描いている時期があるが、マネは写実的にそれを描いたからすごかったんであって、今日の目で見てもセザンヌのその題材の絵に面白みは感じられない。
後年の林檎やミカンを独特の構図と色彩で描いた作品こそがマネの代表作に匹敵するインパクトを持っている。自然の状態ではありえないような果物とテーブルクロスの配置と明るい色彩が見事。
もうひとつの代表作であり、何度も描かれた「サント=ヴィクトワール山」は、最晩年に至っては、色の配置だけで構成されていて、はなれて見るとちゃんと遠景に見えるようなほど抽象化されているのも興味深かった。
セザンヌの自画像は、最晩年のスタンリー・キューブリックのようであり、再現された広々としたアトリエは、映画のセットのようにも見えた。

大エルミタージュ美術館展2012年05月02日 22時37分35秒

国立新美術館。
ルネサンス期の絵が並ぶ中、またもモナリザをモデルにした裸婦像が出てきた。ダ・ヴィンチ展の絵とほとんど同じ構図で、こちらの絵のほうが髪がいくぶん長く、首の太さはあちらほど気にはならない感じだが、裸であることよりも真正面を向いてこちらを見ているのが違和感の最大の理由かもしれない。
面白かったのは、ジャン・ユペールの「ヴォルテールの朝」と「植樹するヴォルテール」。まるで週刊ヴォルテールと言った趣のスナップショット。前者は服を脱ぎながら口実筆記中のだらしない姿を描いたもので、後者も植樹しつつ顔は別なほうを向いており、ご本人がこれをどう思ったか。いずれにせよ、当時のヴォルテールのスーパースターぶりがわかる。
肖像画で印象に残ったのは、マリー・アントワネットのお気に入り画家であったエリザベト=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの自画像とヴァン・ダイクの自画像。どちらも自信満々の表情がうかがえる。
大作マティスの「赤い部屋」は、キャンバスの大きさと赤い色の迫力が比例しているというか、ご本人も言っているように青ではこの迫力がでなかったのだろう。

バトルシップ2012年05月02日 22時38分37秒

2012年アメリカ。ピーターバーグ監督。
エイリアンたちが操る巨大宇宙船には、リムパックに集まったイージス駆逐艦のミサイルやレーダー、艦砲は全く通用せず、日本のイージス艦みょうこうも早々と撃沈させられてしまう。残ったUSSジョン・ポール・ジョーンズも健闘するが、タイタニックよろしく船尾を90度持ち上げて撃沈。最後のクライマックスに登場するのが、お約束のバトルシップ。退役軍人達が生き残った現役の駆逐艦乗りたちに協力して、やはり退役して記念艦となっている戦艦ミズーリを操り、エイリアンの宇宙船に対する。いったん横向きになって主砲を全部敵に向けた時には、すわ、東郷ターンかと思ったな。さしずめ日本でこの映画をリメイクするなら、三笠が登場しないとね。残念ながら三笠は陸揚げされてコンクリート漬けになっているから、やはり宇宙戦艦ヤマトの登場になっちゃうか。
エンドクレジットが始まって早々に出て行った人たちは、最後のおまけを見逃したわけで、口コミの情報勝ちというか情報価値か。

KORIN展2012年05月15日 23時56分23秒

根津美術館。国宝「燕子花図」とメトロポリタン所蔵「八橋図」。
一年前に実現する予定だったのが、震災の影響で延期になり、今年100年ぶりにこの二点が一堂に展示された特別展。
尾形光琳が同じテーマを6曲一双屏風で10年近い時をおいて描いたという2点。それぞれ近くで特徴をまず見て、それから遠く離れて、壁際の椅子に座って、パノラマのように両方の作品を眺めるのが壮観。

マックス・エルンストーフィギュア×スケープ2012年05月20日 18時31分06秒

横浜美術館。
シュルレアリスムを代表する画家で、ナチスに退廃芸術の烙印をおされ作品を押収され、代表作「美しき女庭師」は消失。43年後にリメイクした「美しき女庭師の帰還」が展示されていた。ドイツのケルン近郊で生まれた人なのに、大半の作品の表題がフランス語表記なのは、その後の人生の足取りが、ペギー・グッゲンハイムとニューヨークに渡り、アメリカ市民権を得、さらに1958年にはフランス国籍を得て、85歳の人生をパリで閉じるまでフランスを拠点としたため。
油彩画以外に、コラージュ、版画、彫刻等、その多彩さが150点もの展示で堪能できた。奇怪な形のチェスの駒が面白かった。