死の街を脱れて★★★2015年07月04日 15時44分15秒

1952年大映、モノクロ94分。五島田鶴子原作、小石榮一監督、増村保造助監督。記念すべき公式スクリーンデビュー作(クレジットなしでの出演はこの前に2作確認されている)。タイトルクレジットは水戸光子ら四人と一緒で、左端にニュースター若尾文子と出ていた。敗戦後、大陸に残された婦女子たちが、満州国の首都新京まで、野犬の群れや中国兵、なぜか同胞の列車を銃撃する日本兵など様々な困難を突破していく逃避行。以後数々の作品で共演する機関士役の菅原謙二が救いの神に見えるのは役得。サービスショットは、恋人(根上淳)と別れるシーンでのチャイナドレス姿、川で水浴するシーンでの若々しい背中とふくよかな胸元。ゴジラの巨匠伊福部昭の重厚な音楽も印象的だった。

邦画を彩った女優達選 若尾文子は○○である2011年12月11日 14時24分54秒

NHK BSプレミアム。若尾文子へのロングインタビュー二回から構成された番組。長谷川一夫に見いだされた映画デビューから溝口健二の「赤線地帯」までの前半が洋服、増村保造の「青空娘」以降の後半は着物で登場。長谷川との出会いについては、いつになく詳しく説明していた。小熊二匹が劇場の前にいたのをしゃがんで可愛がっていたら、出くわした長谷川がこの娘、誰それに似ているね、と言ったのだそうな。そこで女優になりたいと言ったのは、おっちょこちょいであると語っていたが、東京に帰る口実を探していたということも言っていた。永田社長が「山本富士子は高嶺の花だが、若尾文子は低嶺の花だ」と語ったとされる話は、自分が言ったことという秘話も披露。もう映画には出ないとのことで、舞台での末永い活躍を期待するしかないようだ。

「でんきくらげ」2009年02月20日 01時39分54秒

1970年大映。遠山雅之原作、増村保造監督。渥美マリ主演。したたかな女を描かせたら右に出る者がいないという感じ。主人公由美が、刑務所にいる母親に面会する度にどんどんあか抜けていくのが面白い。当時の法律では博打はだめで売春はセーフであったのか。

「遊び」2009年02月09日 23時49分56秒

1971年大映。原作・野坂昭如「心中弁天島」、監督・増村保造。関根恵子、大門正明主演。増村監督の大映最後の作品。出会いの日から翌日心中に至るまでの二人のカップルの軌跡。白いブラウスの関根演じる貧困の女子工員が、起こるすべてのことを新鮮に感じ素直に喜んでいる様子が初々しく、さわやかな後味が残った。ラストもタイトル通り遊びにでかけるように楽しげに水にはいる二人がとても心中するようにはみえなかった。松坂慶子がフーテン娘役で1シーン出ていた。

「女体」2009年02月03日 22時40分42秒

1969年大映。池田一朗脚本、増村保造脚本、監督。浅丘ルリ子、岡田英次。魔性の女、浜ミチも彼女に翻弄される石堂信之もエキセントリックな増村ワールドの中では、幸福な未来など待っておらず、転落していくことが運命づけられた気の毒な人たちだ。タイトル「女体」の象徴である浅丘のスキニー・ボディは魅力的というよりは痛々しくて何か怖いもの見たさという感じでしか見られなかった。