「女は二度生まれる」★★★2006年01月17日 23時08分00秒

女は二度生まれる
1961年大映。川島雄三監督。靖国神社近くの闇売春宿で働く芸者小えんの奔放な毎日。妾になる建築士(山村聡)、寿司職人(フランキー堺)、憧れの学生(藤巻潤)、偶然知り合う年下の少年、等さまざまな男達との交流がたんたんと描かれる。「夕顔の女」のヒロインと違って、小えんは正妻(山岡久乃)との対決場面でも一歩もひかない気丈夫ぶり。本能のままに生きる小えんのドキュメンタリーを見ているような迫力は、若尾ちゃんの好演あってこそであろう。この作品他でブルーリボン主演女優賞を獲得。

山村聡も若尾文子も自分が子供の頃見ていた印象では「ただいま11人」のまじめで誠実な父親であり、「女の河」の色っぽいが貞淑な正妻であった。今になってこういう作品での彼等を知るのは強烈な追体験である。四方田犬彦は著書の中で、デビュー当時、庶民的で親近感のあるスターとして女性にも人気のあった若尾がやがて妖艶な大人のスターとして開花し、映画が衰退してテレビに活動の場を移したとき、また女性に好かれる女優に回帰したと言っているが、正にそのテレビ時代を見て育ってきた世代にとっては、子供が大人の別の世界をはじめて知った時のような驚きがある。