「マリヤのお雪」2006年02月01日 22時50分25秒

1935年第一映画。川口松太郎原作、溝口健二監督。普仏戦争を舞台にしたモーパッサンの「脂肪の塊」を翻案。西南戦争の戦火が押し寄せる人吉で芸者のお雪(山田五十鈴)は仲間のおきんと共に避難するが、同じ馬車に乗り合わせる金持たちから白眼視される。やがて官軍の陣営と一緒になり、お雪は一人の将校と恋仲になりそうになるが、出陣の時が来て別れる。金持ちたちは船で避難するが、お雪たちは乗船を拒まれる。やがて逃亡兵となって戻ってきた将校をお雪たちはかくまう。後年の溝口作品と共通する女性の自己犠牲と愛する者への献身というテーマにつながっていく。

「青葉繁れる」井上ひさし2006年02月01日 23時52分52秒

仙台の名門高校にかよう主人公稔は、1年間に251本の映画を観た映画マニア。稔が一番最近観たという江利チエミの「猛獣使いの少女」は1952年の作品で、この映画に若尾文子は出演している。若尾ちゃんがモデルと言われる若山ひろ子は、この時点でまだ仙台にいて、演劇部で稔たちと合同で上演するシェークスピア劇の練習中だったが、仙台へ巡業にやってきた大スターに突然入門して、物語の中盤で姿を消してしまう。ラストで稔は性典映画のヒロインとなった若山浩子とポスターで再会する。「モナリザのような頬笑みは、前とすこしも変わっていない」とのこと。

「安珍と清姫」★★☆2006年02月02日 23時58分47秒

安珍と清姫
1960年大映。島耕二監督。歌舞伎名代のひとつで、道成寺伝説をもとにした悲恋物語。市川雷蔵が煩悩に苦しむ修行僧、若尾ちゃんが勝気で情熱的な姫を演じた。雷蔵さんも台本を読んだ時から楽しみにしていたという混浴シーンや二人の息の合ったラブシーンが嬉しい。若尾オタクの間で伝説のサービス・ショットは始まって46分あたりに確かにあった。美しいバストが一瞬拝める。ちょっと頬がふくらんだ27才当時の若尾ちゃんは、どことなくフカキョンに似ている。

「瘋癲老人日記」★★★2006年02月03日 23時57分35秒

1962年大映。谷崎潤一郎原作、木村恵吾監督。山村聡は「東京物語」では東山千栄子の息子役だったが、ここでは夫役。究極の足フェチを描いた傑作なのかもしれないが、その趣味のない人にはエキセントリックな倒錯描写にただただ笑うしかないのかもしれない。おじいちゃんを狂わす若尾ちゃんの小悪魔ぶりに脱帽。

「女経」★★★☆2006年02月04日 10時46分28秒

女経
1960年大映。増村保造+若尾文子、市川崑+山本富士子、吉村公三郎+京マチ子のオムニバス映画。若尾ちゃん登場の第一話「耳を噛みたがる女」がダントツに面白い。30分という短い尺数だけに増村+若尾コンビの魅力の全てが凝縮されている。徹底的に男から金をむしりとり、堅実に蓄財する魔性の女は、「赤線地帯」のやすみと共通するキャラクター。本命の御曹司、川口浩とのかけひきは両者痛み分けというところか。