それでも恋するバルセロナ2009年07月03日 23時25分28秒

2009年。脚本、監督、ウディ・アレン。原題は「ヴィッキー クリスティーナ バルセロナ」。ペネロペが演じたエキセントリックなスペイン娘、あーいうのが魅力的に見えたら、破滅しか先に待ってないであろう。金髪のクリスティーナは奔放そのものだけど、ちゃんと最後には正しい道へ自ら踏み出していったようだ。終止堅実で、一番地味な印象のヴィッキーが、たった一度おかしたアバンチュールが忘れられず、ついに二度目に踏み出そうとする最中、突然始まる修羅場を経て、最後に見せる清々しい表情が美しい。全編に流れるスパニッシュ・ギターの響きが印象的。

山下洋輔トリオ復活祭2009年07月19日 21時03分59秒

日比谷野外音楽堂で開催された怒濤のリユニオン・コンサートに行ってきました。夏にここで開催されるのが恒例だったサマー・フォーカス・インの舞台で、在りしの平岡正明さんが独特のチャイニーズ服で会場を闊歩されている姿が思い出されます。
セットリストは、第4期トリオ+1から過去に遡って行く形ですすみました。実際には存在しなかった山下洋輔(p)・林栄一(as)・小山彰太(ds)のトリオで最初に演奏されたのは林さん作曲の「回想」。山下トリオの最後の残照ここにあり、という感じで始まって、故武田和命代役の菊地成孔(ts)と國仲勝男(g)が加わり、いかにも山下トリオらしい小山さんの「円周率」、そして名作「GENTLE NOVEMBER」が再現されました。
第3期トリオ(山下・坂田・小山)のこの日の演目は「バンスリカーナ」と「ゴースト」。1976年モントルーフェスからの帰国直後に開催されたサマー・フォーカス・イン'76を同じ場所で聞いたのが感慨深いです。自分にとっても33年前の追体験になりました。
そして第2期トリオ(山下・坂田・森山)の登場。「クレイ」「キアズマ」には感動しました。このトリオの演奏をずっと聞いていたいと思ったのは私だけはないでしょう。前から5列目のいい席だったため、森山さんが山下さんとアイコンタクトする様子がよくわかりました。この演奏が終わった時に、森山さんが右手のドラムスティックを差し出した空には鮮やかな二連の虹が輝いていました。武田さんと平岡さんのことを思わずにいられませんでした。
そして、ついに第1期トリオの登場。長渕剛が出てきたのかと一瞬思ったけれど、もちろん錯覚で、中村誠一さん。自作の「木喰」とお約束の「ミナのセカンドテーマ」。結成当時のトリオの文字通り貴重な再現。
アンコールは全員参加の「ぐがん」。森山さんと小山さんのドラム合戦がメインディッシュでした。
写真は当日書かれた世界に二つしかない記念のサインボールです。打上げの会場でみなさんにお願いして書いてもらいました。森山さんは「なんで野球ボールなの?」と言いながらも快くサインしてくれました。もう一つは山下さんに進呈しました。