ザ+コレクション+ヴィンラートゥール ― 2010年08月07日 18時51分01秒

世田谷美術館。全90作品が日本初公開のスイス、ヴィンタトゥール美術館展初日に行ってきました。前日には来春舞台「炎の人」でゴッホを演じる仲代達矢も来訪したとのこと。
「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」(1888年油彩、カンヴァス)アルルの黄色い家でゴッホが世話になったルーラン一家の主人の肖像。豊かな髭を蓄えて、いかにも人のよさそうな茫洋とした風貌のおじさん。背景の黄色と制服の青が強烈なコントラストになっている。視線は見てる私の頭を超えて右後方を向いているが、彼はいったい何を見ていたのだろう。
他に印象に残った作品は、ロダンのマーラーの肖像、ココシュカの「アヴィニョン」、マルケの「ラ・ヴァレンヌ=サン=ティレール」等々。
「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」(1888年油彩、カンヴァス)アルルの黄色い家でゴッホが世話になったルーラン一家の主人の肖像。豊かな髭を蓄えて、いかにも人のよさそうな茫洋とした風貌のおじさん。背景の黄色と制服の青が強烈なコントラストになっている。視線は見てる私の頭を超えて右後方を向いているが、彼はいったい何を見ていたのだろう。
他に印象に残った作品は、ロダンのマーラーの肖像、ココシュカの「アヴィニョン」、マルケの「ラ・ヴァレンヌ=サン=ティレール」等々。
「ゴッホの宇宙」小林英樹 ― 2010年08月11日 23時12分47秒
「ゴッホの遺言」以降、いつも圧倒的な知識、探究心、想像力で、ゴッホそのもの、またゴッホ研究の面白さを教えてくる著者の最新刊です。実際にパレットに絵の具を乗せて混ぜてその独自の色の作り方を再現分析したくだりやゴッホの読書歴を時代順にたんねんに追ったところも面白かったです。手紙の中にゾラのことがよく出てきていましたが、なかなかの読書家であったことがわかります。著者がオランダのゴッホ博物館に一週間集中的かつ勢力的にかよいつめるくだりも興味深く読みました。他の絵と重ねていたためについた絵の具から、それが同時期のどの絵かまで特定するくだりは、シャーロック・ホームズの分析力、推理力を思わせます。著者が日本推理作家協会賞を受賞しているのもなるほどとあらためて思いました。ゴッホを観ることがますます楽しくなりました。
ヘンリー・ムア 生命のかたち ― 2010年08月12日 22時50分58秒
ブリヂストン美術館。ムーアがイギリス人であることもあり、ストーンヘンジをテーマにしたリトグラフをたくさん残していることは初めて知りましたが、お目当ては常設展示のゴッホ「モンマルトルの風車」(1886年油彩/カンヴァス)。隣に飾ってあったのがゴーガンの同じ年の作品「馬の頭部のある静物」だったことはとても興味深いです。ゴッホもゴーガンもこの時期、まだ今日の名声につながる画風が確立しておらず、いわばゴッホが「ゴッホ」になる前、ゴーガンが「ゴーガン」になる前の作品だという点です。馬の頭部の後ろに飾ってあるのが、日本の扇子である点など、二人に共通する日本文化、特に浮世絵の影響を感じずにはいられませんが、ゴッホのほうは、大胆に横線、縦線を重ねる独特のタッチがまだ見られませんし、ゴーガンのは、すぐ隣に並ぶ3年後の作品「乾草」で見られる独特の色彩の配置がまだ見られません。二人がアルルで共同生活をし、悲劇的な破局を迎えるまでにそれぞれが独自に自己を確立していく過程、芸風の違いを考えずにはいられませんでした。
トリスタンとイゾルデ ― 2010年08月15日 02時40分19秒
NHK-hi 。2009年、バイロイト音楽祭。指揮はペーター・シュナイダー。昔、ウィーン交響楽団の年末年始コンサートで第9をエネルギッシュに振っていたのがこの人だった。第1幕のテキパキとしたテンポ、これはこれでこの演出にはぴったりのテンポだと思った。イゾルデが意味ありげに椅子を倒していくくだりは欲求不満なのかとしか思えなかったけれど。第2幕のイゾルデのまっ黄黄黄の衣装を見て、あ、木村カエラだと思った。はたまた「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーブか。トリスタンはアメリカのゴルフ場の支配人にしか見えなかったけれど、リンチの「ブルーベルベッド」のような色彩感覚が楽しい。ともあれ、来週は史上初の生中継で「ワルキューレ」、そのまえの晩には「マイスタージンガー」もある。楽しみ楽しみ。
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