円山応挙 空間の創造 ― 2010年11月05日 20時55分18秒
三井記念美術館開館五周年記念特別展。眼鏡絵というのが面白い。遠近法によって描かれた風景画で、のぞき眼鏡を使ってみると立体的に見えるそうな。今の3Dのはしりではないか。そして、屏風絵に移ると、大スクリーンをフルに使った大作へと進化していく。水墨画の二大傑作だけは独立した展示部屋があてがわれていて、入ったとたんに、度肝を抜かれて声をあげる人もいた。国宝「雪松屏風」(美術検定テキスト75/100)の完成度は確かに素晴らしいし、生で観て、初めて色使いや、金色の色彩のタッチがわかった。対面に飾られた重要文化財「松に孔雀図」は、屏風ではなく襖だけあって、いわばシネマスコープの迫力で、その壮大さに圧倒された。
真珠の耳飾りの少女 ― 2010年11月13日 23時11分56秒
2003年イギリス・ルクセンブルク合作。トレーシー・シュヴァリエ原作、ピーター・ウェーバー監督。実際には誰だかわかっていないフェルメールの同名絵画のモデルとフェルメール本人、そしてその家族をめぐる秘話という体裁のストーリー。家政婦グリートを演じたスカーレット・ヨハンソンは好演で、絵に描かれたポーズの再現シーンでも雰囲気をよく出していたけれど、実際の絵に描かれた少女の目はもっと大きくて意志的な光がある。黒澤明だったらスポットライトをさらに強烈に当てたに違いない。再来年、マウリッツハイス美術館改修に伴って、東京と神戸でこの少女に会える。
フェルメール全点踏破の旅 ― 2010年11月16日 00時24分35秒
朽木ゆり子著。この本読んでいて思い出したのだけれど、ANAの機内誌のフェルメール特集に載っていたちょっといい話。ロンドンのケンウッドハウスにしばしばお忍びで訪れる人がいて、この人は「ギターを弾く女」だけが目当てなようで、長い時間熱心に見ているのだそうな。みんなこの人がポール・マッカートニーだということに気がついているけれど、じゃましないようにそっとしてあげているとのこと。
古賀春江の全貌 ― 2010年11月21日 15時20分04秒

神奈川県立近代美術館。今年、美術検定4級という初級者向け資格試験を受けたのだけれど、テキストの「この絵、誰の絵?100の名作で西洋・日本美術入門」佐藤晃子著に載っている絵を復習がてら実際に観に行こうと思いたち、探してみると、結構リアルタイムでやっているものです。
96/100に紹介されていたのが、古賀春江(1895-1933)の「海」という作品。昭和4年に描かれた当時の未来図といった感じで、今日の目で見ればぜんぜん驚くような題材ではないけれど、その巨大さに驚く。その左側に展示されていた川端康成が寄贈したという「窓外の化粧」も、モダンガールのお姉さんがアニメ「時をかける少女」みたいにビルのてっぺんから今にも空中へ第一歩を踏みだしますよという絵なんだけど、やはりその巨大さに驚いた。
96/100に紹介されていたのが、古賀春江(1895-1933)の「海」という作品。昭和4年に描かれた当時の未来図といった感じで、今日の目で見ればぜんぜん驚くような題材ではないけれど、その巨大さに驚く。その左側に展示されていた川端康成が寄贈したという「窓外の化粧」も、モダンガールのお姉さんがアニメ「時をかける少女」みたいにビルのてっぺんから今にも空中へ第一歩を踏みだしますよという絵なんだけど、やはりその巨大さに驚いた。
ドガ展 ― 2010年11月21日 22時13分56秒

横浜美術館。本邦初公開という「エトワール」が目玉。こちらは美術検定テキストでは、36/100に載っている。同じ日に観た古賀春江の「海」の巨大さから一転して、驚くほど小振りな作品。ドガは、新古典主義の巨匠アングルに憧れて師事し、繰り返し繰り返し線を描きなさいと指導されたんだそうな。目を痛めたドガが活路を見いだしたのがパステル画の世界。「エトワール」をはじめとしたバレーがテーマの作品も美しいけれど、一連の「浴槽の裸婦」も素晴らしい。裸婦の後ろ姿ばかりしつこくしつこく描いているのだけれど、パステル画だけにどこか上品さがただよう。
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