没後120年 ゴッホ展2010年10月01日 00時46分50秒

国立新美術館。さすがにこれだけ一度にゴッホの作品を見ると感激ひとしお。印象に残ったのは、「麦藁帽子のある静物」「マルメロ、レモン、梨、葡萄」「サン=レミ修道院の庭」そしてもちろんオリジナルの「アルルの寝室」。こないだ見たレプリカのオルセー美術館の物との違いは、天井の角が構図に入ってるところとか右の壁に飾ってる絵が違うとか、床の色が違うとかあるけれど、こちらのほうが気に入りました。
そのアルルの寝室にいたる黄色い家のウォークスルーCGが素晴らしい。ゴーガンの部屋との位置関係もよくわかりました。
写真はまたまた大人買いのグッズ。携帯ストラップなんてひとつで用足りてるのに買い過ぎ。

「温泉女医」★☆2010年10月04日 22時58分26秒

1964年大映。カラー、シネスコ。木村恵吾監督。大映の温泉シリーズ第5作。グリーンのカーディガンを来た若尾ちゃん演じる女医・塩月イサオが、自転車で颯爽と温泉街を走って行くオープニングは、先日亡くなった今敏監督のアニメ「パプリカ」を連想させる。そういえば相手役(丸井太郎)が太った同業者という設定も「パプリカ」と似ている。ただし、監督自身の脚本だけれど、「パプリカ」のような傑作原作がない弱みか、次々といろんなことが起こるわりには、個々のエピソードが単純で、ドラマに奥行きがない。それでも、若尾ちゃんの一挙手一投足を固唾を飲んで見て楽しむ自分の心理状態は、温泉街の人たちが東京から赴任してきた魅力的な代行医師を見る視点と一緒かもしれないが。林家三平や柳家金語楼のカメオ出演が楽しい。

「女が愛して憎むとき」★★2010年10月05日 22時59分21秒

1963年大映。モノクロ、シネマスコープ。菊島隆三脚本、富本荘吉監督。若尾ちゃんは大阪、北新地のバー、シャトーのママ役。若尾ちゃんは、森光子演じるママの経営する老舗バーの卒業生なのだが、若尾ちゃんが標準語を話し、東京風の気取った店をやっているということで同業者たちの評判はよくない。当時プロペラ機であった伊丹・羽田間の最終便に乗り、恋人との逢瀬に向かうのがかっこいい。プレスリーの来日公演を実現させる野心を持つ呼び屋の恋人を演じているのが田宮二郎。部下のバーテンが贋ウィスキーを不正に仕入れていたとして警察、新聞沙汰となってしまう。失意の若尾ちゃんは、田宮のすすめで東京に店を出すことに決め、大阪の店を売った金を田宮に預けるのだが、田宮が自分の仕事の運転資金に一時流用したことに不審感をいだき、不倫関係をきっぱりと清算する。若尾ちゃんは、森ママのバーに勤めて出直すことを決意する。

「不倫」★★2010年10月06日 23時04分48秒

1965年大映。宇野鴻一郎原作、田中重雄監督。この作品は、傑作「清作の妻」と「妻の日の愛のかたみに」の間に撮られているのが面白い。ラストの寝たきりの設定は、後者につながっているし、妻としてしたたかに良人を確保するくだりは前者にテーマが通底する。川崎敬三演じる夫、江波杏子演じる愛人との奇妙な共同生活の中で、実は一番自分の欲求に忠実なのが若尾ちゃん演じるヒロインだということがわかってくる。妻妾同衾がテーマだけれど、川崎が真ん中に寝て川の字に寝るだけで、特に衝撃的な性描写があるわけではない。若尾ちゃんと江波が一緒に入浴するくだりで、湯船につかっている若尾ちゃんの肢体が透明なお湯越しに見えるシーンがサービスショットといえばサービスショット。

「家庭の事情」★★☆2010年10月08日 21時56分18秒

1962年大映。カラー、シネスコ。源氏鶏太原作、新藤兼人脚本、吉村公三郎監督。定年を迎えた山村聰演じる万年係長の父から退職金を等分に50万円づつ渡された4人の娘たちは、それを元手にそれぞれ個性的な使い道を考える。長女の若尾ちゃんは、課長(根上淳)との不倫関係を清算して喫茶店をはじめる。次女(叶順子)は兄が金策に困っている恋人(田宮二郎)に全額貸してしまうのだが、もちろん、この映画の田宮演じる男も怪しい。三女(三条魔子)は手堅く貯金し、末っ子(渋沢詩子)は同僚の男たちに高利貸しをするというちゃっかりぶりで、四者四様。父親は、馴染みの飲み屋の女(藤間紫)にたかられそうになるが、なんとかしのぐ。金を娘たちに渡してしまっているから怖いものなしではあるが。家は吉祥寺にある設定で、吉祥寺駅が40年前当時から高架になっていたことがわかる。小沢栄太郎、杉村春子と脇役のキャストも豪華。オープニングは、通勤ラッシュの満員電車の描写だったが、エンディングでは登場人物たちがその中でもみくちゃになるところで終わる。