博物館に初もうで2011年01月03日 19時41分51秒

東京国立博物館。本館リニューアル記念特別公開の各作品、雪舟の国宝「秋冬山水図」、狩野永徳の国宝「檜図屏風」、尾形光琳の重要文化財「風神雷神図屏風」、そして北斎の「冨嶽三十六景」等を鑑賞。特に北斎は有名な「神奈川沖浪裏」「凱風邪快晴(赤富士)」をはじめとする22枚をじっくりと見ました。風神雷神図は結構なひとだかりの中で近くからしか見られなかったため、二神の視線が互いに交差しているのを、その場では気がつきませんでした。酒井抱一の風神雷神図はもうじき出光美術館で見られそうですが、宗達のオリジナルが見たくなってきました。

p.s.ミュージアムショップで買った風神雷神図の絵はがき、家に帰ってはたと気づいたら光琳ではなくて宗達の風神雷神図ではないですか。どうなっておるの。雷神のしているショールが連鼓より前に来ているのが光琳、後ろにあるのが宗達。(古田亮「俵屋宗達 琳派の祖の真実」参照)

特別展ダ・ヴィンチ〜モナ・リザ25の秘密〜2011年01月12日 22時26分28秒

日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム。いやあ、面白かった。これだけ徹底的にこだわって掘り下げていたら、本物がただの一枚もなくても存分に楽しめるという好例。
天才レオナルドの発明品の数々が設計図だけでなく実際のレプリカとして再現されているのが楽しい。フライホイールやラックアンドピニオンなど、今日実際に使われている自動車などの工業部品と同じアイデアをダ・ヴィンチが考案していたことが、手に取るように、というかそのうちいくつかは実際に手で動かしてみて、わかるようになっているのが嬉しい趣向だ。
「モナ・リザ25の秘密」のコーナーはためになった。右手の下には膝掛けの毛布があることや、ナポレオンが浴室に飾っていたためにできたという目元とあごの傷、ラピスラズリの青が鮮やかだった実際の背景の色、本当は眉毛やまつ毛があった事実など、ひとつひとつが興味深く、思わず誰かに蘊蓄をたれたくなるような秘密の数々だった。2億4千万画素の特殊カメラで撮影され、額からはずした形で全方位から鑑賞できるように飾られたレプリカは、昔ルーブルで観た実物がガラス越しだっただけに、裏の様子まで克明に見ることができて面白かった。
自分のへその位置にマークをセットし、体全体を赤外線カメラで測定し、ダ・ヴィンチが重要視していた「黄金比」とどれだけ差があるかを体験できるコーナーでは、かなり近い値が出た。これは自慢できるのではないかな。
ラストを飾る「最後の晩餐」の実物大(460×880cm)映像もよかった。粒子が粗いことなど、この際関係ない。素人にとって、美術館で実物を見るということの意義のかなりの部分が実際の大きさを知るということにあるとすれば、ミラノまで二度足を運んでも見られなかった自分にとって、この疑似体験で雰囲気は充分に伝わってきた。

琳派芸術 第1部 煌めく金の世界2011年01月18日 21時51分55秒

出光美術館。酒井抱一生誕250周年ー光悦・宗達から江戸琳派。本阿弥光悦と俵屋宗達のコラボレーションによる作品が<1章 美麗の世界>の目玉。下絵を宗達が描き、百人一種和歌の書を光悦が墨書した数々の作品のゴージャスさ。<2章 金屏風の競演>で目をひいたのは、宗達が描き、烏丸光広が詞を書いた重要文化財「西行物語絵巻 第四巻」。鹿が走る野原に座る西行と誰かを描いた絵で、これを見て久隅守景の「夕顔棚納涼図屏風」を思い出した。同時代の人だから共通点があってもおかしくないけれど。<3章 光琳の絵画>では、大阪市立美術館所蔵の「燕子花図」が最初に飾られていた。根津美術館にある国宝の襖絵に較べるとずいぶん小振りな作品のはず。未見だから確かなことは言えないのであった。<4章 琳派の水墨画>では宗達の「龍虎図」が面白かった。龍と虎が上下に目線を合わせて火花を散らしている図。酒井抱一の作品がメインとなる第2部が楽しみ。
ここの休憩所から外を眺めると、皇居吹上御所が目の前に見えるのが新鮮だった。