「家庭の事情」★★☆2010年10月08日 21時56分18秒

1962年大映。カラー、シネスコ。源氏鶏太原作、新藤兼人脚本、吉村公三郎監督。定年を迎えた山村聰演じる万年係長の父から退職金を等分に50万円づつ渡された4人の娘たちは、それを元手にそれぞれ個性的な使い道を考える。長女の若尾ちゃんは、課長(根上淳)との不倫関係を清算して喫茶店をはじめる。次女(叶順子)は兄が金策に困っている恋人(田宮二郎)に全額貸してしまうのだが、もちろん、この映画の田宮演じる男も怪しい。三女(三条魔子)は手堅く貯金し、末っ子(渋沢詩子)は同僚の男たちに高利貸しをするというちゃっかりぶりで、四者四様。父親は、馴染みの飲み屋の女(藤間紫)にたかられそうになるが、なんとかしのぐ。金を娘たちに渡してしまっているから怖いものなしではあるが。家は吉祥寺にある設定で、吉祥寺駅が40年前当時から高架になっていたことがわかる。小沢栄太郎、杉村春子と脇役のキャストも豪華。オープニングは、通勤ラッシュの満員電車の描写だったが、エンディングでは登場人物たちがその中でもみくちゃになるところで終わる。